ある朝、目覚めると
知らない男が枕もとに立っている。
「お迎えにあがりました」
ぼんやりした頭で僕は考える。
この男は誰だったろうか?
男はやさしく微笑む
「あと15分です」
どうやら僕に残された時間はあと15分らしい。
窓の外の太陽は既に高く、
ベランダには白いタオルが揺れている。
伝えるべきことは、伝えたような気もするし
これまで伝えられなかったことを
あと15分で誰かに伝えられるだろうか?
大切な人がいないわけではないけれど
大切な人が、同じように
僕を大切に思っているかどうか?
そんなことを今、確認したいのではない。
まぁ、皆きっと楽しくやっていくのだろう。
窓の外に一筋のひこうき雲が横切る。
「時間です」男は微笑む。
「最後に」と、僕は問いかける。
「あの時、僕が違う選択をしていたとしたら?」
僕には一つだけ
岐路と思える出来事があった。
例えば僕に、違う人生の選択肢があったのなら?
「結果は同じですよ」
男はもう一度微笑む。
「では、参りましょうか」
僕は目を瞑る。
足元から熱を帯びはじめ、
頭の中は白い闇に覆われていく。
窓の外の太陽は更に高く、
ベランダには白いタオルが揺れている。
2009年07月08日
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